夏に旬を迎える桃と、フランス産の生乳から作ったクリームチーズの出会い。みみずく洋菓子店の「レーヴ・ドゥ・フロマージュ（ペッシュ）」は、暑い時期にこそ味わいたいスイーツです。

レシピ開発のヒントになったのは、店主がロンドンを旅していたときにホテルのラウンジで食べた「ピーチ・メルバ」。熟した桃とバニラアイス、そしてラズベリーのピューレを組み合わせたデザートです。
「ピーチ・メルバ」は、19世紀末に活躍したオペラ歌手のネリー・メルバに捧げるものとして考案されたのだそう。初めて供されたときには、氷でできた白鳥の彫刻に盛り付けられていたと伝えられています。
店主が初めて「ピーチ・メルバ」を食べたときには、シンプルでありながら奥深い味わいに感動しました。素材同士が引き立て合う、甘酸っぱくみずみずしい味わいを、「レーヴ・ドゥ・フロマージュ（ペッシュ）」で再現しています。
さわやかなラズベリーピューレのニュアンスは、ラズベリーがほんのり香るゼリーを薄くかけることで表現。胸をときめかせるほんのりしたピンク色も、こだわりのポイントのひとつです。

おいしさの鍵を握っているのは、生地のなかにたっぷり閉じ込めた白桃。ジューシーさと果肉感を堪能していただくため、できるだけ大きめにカットしました。焼いている間に白桃が沈んでしまわないよう、生地の固さも綿密に調整しています。
一口に「桃」といっても国内外でさまざまな品種が流通していますが、今回は国産にこだわりました。何度も試作を繰り返すなかで行き着いたのは、東北産の白桃。甘さと酸味のバランスがよく、ほどよい食感もあるのが魅力です。
身も心も癒してくれそうな白桃の優しい味わいを、ぜひお楽しみください。

隠し味は、生地に練り込んだココナッツ。じっくり味わってみると、クリームチーズのなかにほのかな風味を感じられると思います。
そもそもココナッツは、クリームチーズと相性のいい素材です。最初はトロピカルフルーツとの組合せを考えていたのですが、試作してみたところ国産白桃にも意外なほどマッチしました。白桃の上品な味わいに、南国由来の華やかさを加えてくれています。
がんばった1日の終わりには、この贅沢なマリアージュがリゾート地でくつろいでいるときのような贅沢感を与えてくれるはずです。