しとしとと雨が降る日は、不思議と読書がはかどります。
今日手に取ったのは、美しい青色の表紙が梅雨空によく似合う『金子みすゞ詩選集 雨のあと』（春陽堂書店、2022年11月発行）。著者である金子みすゞの生誕120年を記念して刊行されたそうです。
収録されている47の詩集は、どれもやさしい言葉で書かれています。
それなのに、ひとつひとつの作品に力強く訴えかけてくるものがあり、読み終えてからしばらく呆然としていました。

明るい影よ、
すずしい影よ、
ゆれてる影よ。
　水はつつましい、
　自分の影は小さい。
（『水と影』より）

静かな優しさとさびしさ、そして胸が痛くなるほどの透明感。
そんなものを感じて、思わず涙ぐみました。